就労継続支援B型事業所がR8年度の処遇改善加算を算定する場合、まず押さえておかなければならないのが賃金改善の基本ルールです。
処遇改善加算は、障がい福祉サービスで働く職員の賃金を改善するための加算です。
そのため、加算を取得した場合、そのお金は原則として職員の賃金改善に使う必要があります。
「加算を取れば事業所の収入が増える」という面はありますが、自由に使える収入ではありません。
あくまでも、職員の処遇を改善するための加算であることを理解しておく必要があります。
加算額以上を賃金改善に使う必要がある
処遇改善加算で最も大切なルールは、加算によって受け取った額以上を職員の賃金改善に充てることです。
資料でも、加算によって受け取った額以上を職員の賃金改善に充てる必要があり、一部を他の用途に使うことはできないと整理されています。
たとえば、処遇改善加算として年間200万円を受け取る場合、少なくとも200万円以上を職員の賃金改善に使う必要があります。
この賃金改善には、基本給の引き上げ、毎月の手当、賞与、一時金などが考えられます。
ただし、どの方法で支給するかは、月額賃金改善要件との関係もあるため、事業所ごとに慎重に設計する必要があります。
他の経費に使うことはできない
処遇改善加算は、職員の賃金改善のための加算です。
そのため、事業所の家賃、光熱費、備品購入費、車両費、広告費など、通常の運営経費に充てることはできません。
もちろん、事業所運営にはさまざまな経費がかかります。
しかし、処遇改善加算は職員の賃金改善を目的として支給されるものです。
そのため、加算収入と職員への支給額をきちんと管理し、説明できるようにしておくことが大切です。
既存の賃金を下げてはいけない
もう一つ重要なのが、処遇改善加算を理由に、これまで支給していた基本給や手当を引き下げてはいけないという点です。
たとえば、これまで支給していた手当を減らして、その分を処遇改善手当に置き換えるような方法は適切ではありません。
処遇改善加算は、現在の賃金に上乗せして改善することが基本です。
そのため、事業所では、処遇改善加算を算定する前の賃金水準を確認し、そのうえでどのように上乗せするかを考える必要があります。
誰に、いくら、どのように支給するかを決める
処遇改善加算を算定する場合、事業所では職員への配分方法を整理しておく必要があります。
具体的には、次のような点を確認します。
誰を対象にするのか
基本給で上げるのか
毎月の手当で支給するのか
賞与や一時金で支給するのか
常勤職員と非常勤職員でどう扱うのか
職種や勤務時間によって差を設けるのか
特に就労継続支援B型では、生活支援員、職業指導員、目標工賃達成指導員、サービス管理責任者、管理者など、さまざまな職種が関係します。
職員ごとの役割や勤務実態を踏まえながら、公平性のある配分を考えることが大切です。
賃金規程や就業規則との整合性も必要
処遇改善加算を毎月の手当や基本給で支給する場合、賃金規程や就業規則との整合性も確認が必要です。
たとえば、「処遇改善手当」として毎月支給する場合、その手当の対象者、支給額、支給方法、支給時期などを明確にしておく必要があります。
口頭だけで運用してしまうと、後から職員との認識にズレが出る可能性があります。
また、運営指導や実績報告の際にも、どのような根拠で支給しているのか説明できるようにしておくことが重要です。
毎月支給と一時金のバランス
処遇改善加算では、賞与や一時金だけで支給すればよいわけではありません。
一定額については、基本給や毎月決まって支払う手当として、継続的に支給することが求められます。
そのため、事業所としては、
毎月の手当として支給する部分
賞与や一時金として支給する部分
を分けて考える必要があります。
職員にとっては、毎月の給与が上がる方が処遇改善を実感しやすい面があります。
一方で、加算額は利用者数や報酬額によって変動するため、事業所として無理のない設計にすることも大切です。
まとめ
R8年度の処遇改善加算では、賃金改善の基本ルールを正しく理解しておくことが重要です。
特に、
加算額以上を職員の賃金改善に使うこと
他の経費に使わないこと
既存の基本給や手当を下げないこと
誰に、いくら、どのように支給するかを整理すること
賃金規程や就業規則と整合させること
が大切です。
処遇改善加算は、単に加算を取得するためのものではありません。
職員が安心して働き続けられるように、賃金面から職場を支えるための制度です。
松倉行政書士社会福祉士事務所では、就労継続支援B型をはじめとする障がい福祉サービス事業所の指定申請、運営支援、加算取得、研修資料作成、各種マニュアル整備のサポートを行っています。
処遇改善加算の賃金改善方法や配分ルールでお困りの事業所様は、お気軽にご相談ください。

