障害福祉サービスについて

重度障がい者の支援体制を評価する重度者支援体制加算とは

    重度者支援体制加算は、障害基礎年金1級を受給する重度障がい者を多く受け入れ、質の高い支援体制を整備した福祉サービス事業所に対して支給される加算制度です。令和6年度の報酬改定により、加算の基準や単位数が明確化され、より実態に即した支援が評価される仕組みとなっています。この記事では、加算の概要、対象事業所、算定条件、注意点について詳しく解説します。


    重度者支援体制加算の概要

    この加算は、重度障がい者の支援に特化した体制を整備する事業所を対象に、障害基礎年金1級受給者の受入割合に応じて評価される制度です。重度者への支援には専門的な知識や配慮が求められるため、事業所の負担や支援の工夫が多く、それに応じた加算が支給されることで、支援体制の充実と事業の継続性が図られます。


    対象となる事業所

    次の障がい福祉サービス事業所が加算対象です。

    • 就労継続支援B型
    • 就労移行支援
    • 生活介護

    加算区分と単位数

    令和6年度の改定により、障害基礎年金1級受給者の割合に応じて加算Ⅰと加算Ⅱの2区分が設定されています。定員(利用者数)により1日あたりの単位数が異なります。

    加算区分受給者割合基準定員(利用者数)単位数(1日あたり)
    加算Ⅰ50%以上20人以下56単位
    21~40人50単位
    41~60人47単位
    61~80人46単位
    81人以上45単位
    加算Ⅱ25%以上20人以下28単位
    21~40人25単位
    41~60人24単位
    61~80人23単位
    81人以上22単位

    算定条件

    1. 対象者の割合基準を満たすこと

    加算を算定するには、前年度の延べ利用者数に占める障害基礎年金1級受給者の割合が以下のいずれかを満たしている必要があります。

    • 加算Ⅰ:50%以上
    • 加算Ⅱ:25%以上

    2. 支援体制の整備

    重度障がい者が日常的に適切な支援を受けられるように、人員配置、設備、個別支援計画の整備が求められます。

    3. 記録の整備と管理

    要件を満たすことを証明するための利用者数、障害基礎年金の受給状況、支援内容の記録を正確に管理する必要があります。


    実施上の注意点

    利用者割合と数の正確な把握

    延べ利用者数と障害基礎年金1級受給者の割合を正確に計算し、基準をクリアしていることを客観的に証明できるようにしておくことが重要です。

    公式書類の確認と保管

    障害基礎年金1級の受給を証明するためには、「年金証書」や「年金決定通知書」など、正式な書類を確認・保管する必要があります。

    記録の整備と更新

    利用者の支援状況、受給状況、支援計画の実施内容などを日々正確に記録し、必要に応じて速やかに提出できる状態にしておく必要があります。

    継続的な体制見直し

    支援の質を維持・向上するために、定期的に体制を点検し、必要に応じて人員配置や支援方法の見直しを行うことが求められます。


    加算活用の意義と展望

    重度者支援体制加算は、重度障がい者の受け入れと支援を積極的に行う事業所を制度的に支援し、その取り組みを後押しするものです。加算を活用することで、重度障がい者の生活の質が向上し、事業所の支援体制も持続的に強化されていきます。記録や体制整備を徹底することで、利用者・家族・関係機関からの信頼も高まり、地域における支援拠点としての役割が確立されていくでしょう。

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