法定後見制度は、判断能力が低下した方を法律的に支援する大切な仕組みですが、実際の運用については「誰が後見人になるの?」「費用は?」「家族だけでできる?」といった誤解が多く見られます。この記事では、制度の正しい理解に役立つ基本的な質問と回答を、Q&A形式でわかりやすく整理します。
法定後見制度とは?
法定後見制度とは、認知症や知的障がい、精神障がいなどによって判断能力が不十分な方のために、家庭裁判所が後見人を選び、生活や財産の管理を法律的に支援する制度です。必要に応じて、保佐や補助という軽度の支援も設けられています。
よくある質問と正しい知識
Q1. 法定後見制度は誰でも使える?
A:対象は判断能力が不十分な方に限られます。
認知症などで財産管理や契約手続きが難しい方に対し、家庭裁判所が後見人を選任して支援を行う制度です。
Q2. 家族が勝手に申立てできる?
A:申立ては可能ですが、裁判所の審査が必要です。
四親等以内の親族は申立てできますが、医師の診断書や本人の状況をもとに家庭裁判所が後見人を選任します。家族だからといって自動的に後見人になれるとは限りません。
Q3. 申立て時に必要な書類は?
A:以下の書類が基本的に必要です。
- 医師による診断書(後見制度専用様式)
- 本人の戸籍謄本・住民票
- 財産目録
- 収支予定表
- 後見人候補者の住民票など
地域包括支援センターなどでも事前相談が可能です。
Q4. 後見人は何をするの?
A:本人の代理人として生活・財産を支援します。
- 預貯金管理、支払手続き
- 年金や収入の管理
- 医療・介護契約の代行
- 公共料金や家賃の支払い
後見人は法的代理人として、本人の利益を守る役割を担います。
Q5. 後見人を交代することは可能?
A:家庭裁判所の許可が必要です。
正当な理由(不正、健康上の問題、辞任の申し出など)がある場合に限り、裁判所が交代を認めることがあります。
Q6. 誰が後見人に選ばれる?
A:家族・親族に限らず、専門職や法人も対象です。
- 家族・兄弟姉妹
- 行政書士・司法書士・弁護士などの専門職
- 社会福祉法人など法人後見
選任にあたっては、信頼性、公平性、継続性が重視されます。
Q7. 費用はどのくらいかかる?
A:申立てから後見開始後まで、一定の費用が必要です。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
申立て時の費用(印紙等) | 約8,000~12,000円 |
医師の診断書作成費 | 約5,000~20,000円 |
専門職後見人の報酬 | 月額2万円前後(裁判所決定) |
原則として、被後見人の財産から支払われます。
Q8. 後見制度は一度始めたらずっと続く?
A:状況に応じて終了・変更も可能です。
- 本人が回復した場合 → 終了手続き可
- 本人の死亡 → 自動終了
- 必要に応じて保佐や補助への変更も可能
制度は本人の状態に合わせて柔軟に対応可能です。
正しい理解が安心の第一歩
法定後見制度は、本人と家族の暮らしを守る重要な仕組みです。誤解や不安を避けるためにも、制度の本質や手続きの流れを正しく理解し、適切な場面で活用することが大切です。
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