成年後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立てが必要です。特に法定後見制度は、判断能力がすでに低下している方を支援するための仕組みであり、申立ての流れや書類準備に戸惑う方も少なくありません。この記事では、申立ての流れを7つのステップに分けて丁寧に解説し、安心して手続きを進めるためのポイントをご紹介します。
法定後見制度の申立てが必要なケース
法定後見制度は、すでに判断能力が低下した方のために後見人を選任する制度であり、利用するには家庭裁判所への正式な申立てが必要です。
誰が申立てできるの?
以下の方が申立て人になれます:
- 本人(判断能力がある場合)
- 配偶者
- 四親等内の親族(子・兄弟姉妹・おい・めい・いとこ など)
- 市町村長(親族による申立てが難しいとき)
- その他の利害関係人(例:介護施設職員や成年後見人候補者など)
申立て手続きの流れ【7ステップ】
① 相談・情報収集
まずは**市区町村の窓口や専門家(行政書士・弁護士)**に相談し、制度の概要と手続き内容を把握しましょう。初回無料の相談窓口も多くあります。
② 必要書類の準備
準備すべき主な書類は以下のとおりです:
- 成年後見申立書(家庭裁判所指定の書式)
- 被後見人の戸籍謄本・住民票
- 財産目録および収支予定表
- 医師による診断書(裁判所指定様式)
- 後見人候補者の住民票
※ケースによっては、登記事項証明書や通帳のコピーなども求められます。
③ 家庭裁判所へ申立て
すべての書類をそろえたら、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。
郵送ではなく、原則として直接持参が必要なこともあるため、事前に裁判所へ確認しましょう。
④ 審理・調査
家庭裁判所が内容を精査し、次のような調査を行います:
- 裁判所調査官との面談
- 本人および親族への聞き取り
- 医師への意見照会
本人の生活状況や財産状況をもとに、支援の必要性を判断します。
⑤ 鑑定(必要に応じて)
判断能力の程度が不明確な場合は、裁判所指定の医師による鑑定が行われます。
費用は原則として申立人が負担し、5万円前後が相場です。
⑥ 審判(後見開始の決定)
すべての調査・鑑定が終わると、裁判所から審判書が郵送され、後見人の選任が正式に決まります。
⑦ 後見人の活動開始
審判が確定すれば、後見人の業務が始まります。
後見人は、家庭裁判所に対して定期的な報告を行いながら、被後見人を法的にサポートします。
費用の目安
内容 | 費用の目安 |
---|---|
裁判所手数料・収入印紙代 | 約8,000~15,000円 |
診断書作成費用(医師) | 5,000~20,000円 |
鑑定費用(必要時) | 約50,000円前後 |
専門家への依頼費 | 100,000~200,000円程度(内容により異なる) |
※法テラスの民事法律扶助など、経済的に困難な方への支援制度もあります。
申立ての注意点と専門家の活用
成年後見制度の申立てには多くの書類と正確な情報が求められます。
専門的な判断も必要なため、不安がある方は行政書士・司法書士・弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
- 書類の作成代行
- 診断書の取得サポート
- 裁判所とのやりとりの代行 など、手続きをスムーズに進められます。
まとめ
成年後見制度の申立ては、制度を開始するための重要な第一歩です。
しっかりと準備を行い、必要に応じて専門家の助けを借りながら手続きを進めましょう。
「難しそうだから…」と後回しにせず、安心のための行動を今から始めてみませんか?