成年後見制度を利用する際に最も悩ましいのが「後見人を誰にするか」という点です。信頼関係だけでなく、法的手続きの知識や継続的な支援体制も考慮する必要があります。この記事では、家族と専門職の違いや、選ぶ際のチェックポイントを具体的に解説します。
成年後見人とは？
成年後見人とは、判断能力が不十分な方に代わり、財産の管理や生活の支援、法律行為の代行などを行う法的な代理人です。
後見人は家庭裁判所によって選ばれ、本人の生活と権利を守る重要な存在となります。
後見人になれる人とは？
成年後見人として選ばれる候補者には、以下のような人が含まれます。
- 配偶者や子ども、兄弟姉妹などの親族
- 友人や知人
- 行政書士・司法書士・弁護士などの専門職
- 福祉法人や社会福祉協議会などの法人
※最終的な決定は、家庭裁判所が「本人にとって適切かどうか」を基準に行います。
家族を後見人にするメリットと注意点
メリット
- 本人との関係性が深く、気持ちを理解しやすい
- 生活状況や希望に寄り添った支援が可能
- 原則として報酬の支払いが不要（申請すれば報酬を受け取ることも可能）
注意点
- 財産管理や報告書作成に不慣れな場合が多い
- 他の相続人との関係悪化のリスクがある
- 高齢の親が高齢の子に任せる「老老後見」の課題
専門職を後見人にするメリットと注意点
メリット
- 法律や制度に精通しており、複雑な手続きにも対応可能
- 客観的かつ中立的な支援ができ、親族間トラブルを避けられる
- 継続的かつ安定したサポートが期待できる
注意点
- 月額1〜2万円前後の報酬が発生する
- 家族のような柔軟な対応や情緒的な支援には限界があることも
後見人選びの5つのチェックポイント
後見人を選ぶ際には、次のポイントを総合的に判断することが大切です。
| チェックポイント | 内容 |
|---|---|
| ✅ 信頼できるか？ | 金銭面や過去のトラブルに問題がないかを確認 |
| ✅ 継続的な支援が可能か？ | 長期的に支援を継続できる人であること |
| ✅ 法的手続きに対応できるか？ | 財産管理や裁判所報告などに対応できるか |
| ✅ 関係者との協調性はあるか？ | 他の親族と円滑にやりとりができるか |
| ✅ 本人の意思を尊重できるか？ | 本人の生活の希望や価値観を大切にできるか |
専門職に依頼するには？
信頼できる行政書士、司法書士、弁護士などの専門職は、相談から後見人の引き受けまで一貫したサポートが可能です。
家庭裁判所への申立ても代行できるため、手続きに不安がある方にも安心です。
まとめ：信頼と継続性が鍵になる
成年後見制度における後見人は、単なる“代理人”ではなく、本人の生活と権利を長期的に守るパートナーです。
家族に任せる場合も、専門家に依頼する場合も、「信頼できること」「継続して対応できること」が何よりも重要です。
迷った場合は、専門家に相談して一緒に考えるのも安心な選択肢です。
将来のトラブルを避け、安心できる支援体制を整えるためにも、後見人選びは慎重に行いましょう。