成年後見制度では家族が後見人に選ばれることが多くありますが、その役割は決して軽くはありません。財産管理や医療・介護の手続き、裁判所への報告など、想像以上に手間と責任が伴います。この記事では、家族後見人の主な実務、よくある悩み、そして支援を受けながら無理なく続けるためのポイントを解説します。
家族が後見人を担うメリットと現実
【家族後見のメリット】
- 本人の性格や生活スタイルをよく知っている
- 日常の様子を把握しやすく、対応が柔軟
- 家族としての信頼関係を基に支援できる
【一方で見えてくる現実】
- 手続きが煩雑で、思った以上に時間がかかる
- 財産や支出の管理に気を遣う
- 他の親族との関係に緊張が生じることも
- 裁判所への報告業務が心理的負担になる
👉「気持ちだけでは続かない」──それが家族後見の難しさです。
家族後見人の主な実務とは？
| 分野 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 財産管理 | 預金の出納管理、領収書保管、年1回の財産目録・収支報告の提出 |
| 生活支援 | 医療・介護サービスの契約、施設との連絡・見守り支援など |
| 裁判所対応 | 年次報告書作成、特別支出の許可申請、任務内容の記録保管 |
👉 日常の中で発生する“細かい業務”の積み重ねが、負担感に繋がることも多いのが特徴です。
家族後見でよくある「つまずきポイント」
- 通帳の記帳や管理に追われる
- 病院や介護施設からの連絡が多く、調整に苦労する
- 親族から「ちゃんとやってる？」と疑念を持たれることがある
- 裁判所提出用の書類作成が難しいと感じる
👉 慣れない書類業務や対外的な調整は、精神的にも負担がかかります。
無理なく続けるための4つの工夫
✅ 1. 記録は「簡単・継続可能」がカギ
エクセルや市販の家計簿を使って収支を記録。
通帳コピーを毎月1回取っておくのも有効です。
✅ 2. 必要なところだけ専門家に相談
行政書士や司法書士に「報告書の書き方だけ」「支出の許可申請だけ」といったスポット依頼も可能です。
✅ 3. 家族内での情報共有を
LINEグループや共有メモアプリなどを活用し、一人で抱え込まない環境づくりを意識しましょう。
✅ 4. 専門職後見・法人後見への切り替え検討
負担が大きい場合は、家庭裁判所に申請し、第三者後見への変更も可能です。
続けるコツは「完璧を目指さない」こと
家族が後見人になるのは、本人を大切に思う気持ちから始まるもの。
しかし、制度としては**“法律に基づいた責任ある役割”**です。
そのため、家族の気持ちと法的な手続きのギャップに苦しむ方も少なくありません。
無理せず、時には頼る。
それが家族後見を長く続けるために必要な姿勢です。
困ったときは専門家のサポートを
松倉行政書士・社会福祉士事務所では、家族後見を担う方に向けたサポートを行っています。
- 家庭裁判所への年次報告書作成支援
- 特別支出に関する相談
- 後見人の交代や専門職後見への切り替え相談
「誰かに相談したい」「不安だけど誰に聞いたらいいか分からない」
──そんな時は、まずは無料相談からご利用ください。