障害福祉サービスについて

医療連携体制加算で実現する質の高い健康支援体制

    医療連携体制加算は、障がい福祉サービス事業所が医療機関と連携し、利用者に対する医療的ケアや健康管理を適切に実施するための制度です。令和6年度の報酬改定では、支援内容に応じた6つの区分が新設され、より実態に即した評価が可能となりました。本記事では、医療連携体制加算の概要から、各区分の内容、算定条件、具体的な支援活動、そして運用上の注意点までを詳しく解説します。


    医療連携体制加算とは

    医療連携体制加算は、障がい福祉サービス事業所が看護職員や医療機関と連携し、利用者の健康状態を把握しながら適切な医療的支援を行う体制を評価する加算です。医療との連携により、利用者の安心・安全な生活の実現と、事業所における支援の質向上が期待されます。


    医療連携体制加算の区分と単位数

    令和6年度報酬改定により、支援内容・提供時間・対象人数に応じた6つの区分が設けられました。

    区分単位数(1日あたり)内容
    32単位看護職員が1時間未満の看護支援を提供(上限8人)
    63単位1時間以上2時間未満の看護支援(上限8人)
    125単位2時間以上の看護支援(上限8人)
    800/500/400単位医療的ケアが必要な利用者に看護を実施(人数に応じて単位変動)
    500単位看護職員による介護職員への喀痰吸引等の指導
    100単位研修済みの介護職員による喀痰吸引等の実施

    医療連携体制加算の算定条件

    主治医の指示書取得

    利用者ごとに主治医の指示書を取得することが必要です。全利用者一括ではなく、個別に取得する必要があります。

    看護職員の訪問と支援

    看護職員が定期的に事業所を訪問し、指示書に基づく看護や医療的支援を実施します。支援頻度や内容は利用者の状態に応じて適切に設定されなければなりません。

    記録の保持

    提供した支援や指導内容は、詳細に記録し、監査や報告時に提示できるように管理しておく必要があります。

    喀痰吸引等の実施・指導

    医療的ケアが必要な場合には、看護職員による介護職員への指導、または研修を受けた職員によるケアの実施が求められます。


    具体的な支援活動の内容

    健康診断の実施と支援計画への反映

    医療機関と連携して健康診断を実施し、その結果をもとに個別支援計画を作成・調整します。

    看護職員の訪問による状態確認と支援

    訪問のたびに健康状態を評価し、必要に応じて医療的処置やアドバイスを提供します。

    介護職員への技術指導

    喀痰吸引などの医療的技術について、看護職員が介護職員へ直接指導を行い、サービスの安全性を確保します。

    医療情報の共有と説明

    医療機関と共有した情報を、利用者本人や家族に丁寧に伝えることで、不安を軽減し、安心感を提供します。


    医療連携体制加算のメリット

    利用者の健康維持を促進

    医療的ケアを継続的に受けられる環境を整えることで、健康状態の安定を図れます。

    支援の質と専門性の向上

    医療専門職の関与により、支援の質が高まり、個別ニーズへの対応力も向上します。

    家族への安心提供

    医療と福祉が連携した支援体制により、家族も安心して利用者を見守ることができます。


    実施上の注意点と課題

    指示書取得の調整

    主治医からの指示書取得は、医療機関との連絡調整や定期更新が必要となります。

    記録の正確性と整備

    支援や指導の実施内容は必ず詳細に記録し、記録不備がないように体制整備が重要です。

    職員の負担への配慮

    医療的対応や記録作業が増えるため、職員の負担軽減や効率化の工夫が必要です。

    医療機関との関係構築

    定期的な連携会議や情報交換の仕組みをつくり、持続的な関係を維持することが求められます。

    プライバシーの保護

    利用者の医療情報を扱う際は、厳重な情報管理と配慮が求められます。


    医療連携体制加算を活用した支援体制の構築へ

    医療連携体制加算は、利用者の健康を守り、事業所の支援力を高めるための重要な制度です。支援の質を高めるだけでなく、家族や医療関係者からの信頼を得るためにも、正しい運用と記録、関係機関との円滑な連携が不可欠です。制度の目的を理解し、現場に適切に取り入れることで、より安全で安心な福祉サービスの提供が可能となります。

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