函館市や北斗市、道南地域で「就労継続支援B型を始めたい」「障害福祉サービスの事業所を開業したい」というご相談をいただくことがあります。
就労継続支援B型は、一般企業での雇用が難しい方に対して、生産活動や作業の機会を提供し、知識や能力の向上を支援する障害福祉サービスです。
一方で、思いつきだけで開業できる事業ではありません。
法人、人員、物件、設備、運営体制、収支計画、指定申請書類など、事前に確認すべきことが多くあります。
特に函館市内で事業所を開設する場合、指定申請書類は指定日の前々月の月末までに提出する必要があり、函館市も事業開始3か月前までの早めの相談を案内しています。
この記事では、函館市で就労継続支援B型を開業したい方向けに、指定申請の流れと注意点をわかりやすく解説します。
就労継続支援B型とは
就労継続支援B型は、障害や体調、年齢、就労経験などの事情により、雇用契約を結んで働くことが難しい方に対して、働く場や生産活動の機会を提供するサービスです。
A型と違い、B型では原則として利用者と雇用契約を結びません。
そのため、最低賃金ではなく、作業実績などに応じた「工賃」を支払う形になります。
ただし、工賃を支払えばよいというだけではありません。
利用者の希望や能力、生活状況に応じて個別支援計画を作成し、就労や社会参加につながる支援を行う必要があります。
B型事業所は、単なる作業場所ではなく、利用者の生活と将来に関わる福祉サービスです。
函館市でB型を開業する場合の申請先
北海道内で障害福祉サービス事業を行う場合、通常は北海道知事への指定申請が必要です。
ただし、事業所の所在地が札幌市、函館市、旭川市の場合は、それぞれの市長に指定申請を行うことになります。函館市内で開業する場合は、函館市が申請窓口になります。
函館市外、たとえば北斗市や七飯町、森町などで開業する場合は、北海道への申請となります。
同じ道南でも、事業所の所在地によって申請先が変わるため、最初に確認しておく必要があります。
開業までの大まかな流れ
就労継続支援B型の開業は、一般的には次のような流れで進みます。
事業内容の整理
まず、どのようなB型事業所にするのかを整理します。
たとえば、次のような点です。
・どのような利用者を想定するのか
・どのような作業や生産活動を行うのか
・定員を何名にするのか
・送迎を行うのか
・食事提供を行うのか
・在宅支援を行う可能性があるのか
・工賃をどのように確保するのか
・開業後の収支は成り立つのか
B型は、指定を取ること自体がゴールではありません。
開業後に利用者を確保し、職員を配置し、工賃を支払い、記録や請求、研修、委員会、加算管理まで継続して行う必要があります。
そのため、指定申請の前に「開業後にきちんと運営できるか」を考えることが大切です。
法人の確認
就労継続支援B型を運営するには、法人であることが必要です。
株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人、社会福祉法人など、法人形態はいくつかあります。
すでに法人がある場合でも、定款の目的に障害福祉サービス事業を行うことが記載されているか確認が必要です。
たとえば、定款目的に障害福祉サービスや就労継続支援B型に関する記載がない場合、定款変更が必要になることがあります。
法人設立や定款変更には時間がかかるため、指定申請の直前ではなく、早い段階で確認しておくことをおすすめします。
物件選び
就労継続支援B型の開業では、物件選びが非常に重要です。
家賃が安い、広さがある、場所が良いというだけでは不十分です。
障害福祉サービス事業所として使用できる物件かどうかを確認する必要があります。
確認すべき主なポイントは、次のとおりです。
・作業室として十分な広さがあるか
・相談室を確保できるか
・事務スペースがあるか
・トイレや洗面設備が適切か
・利用者が安全に移動できるか
・消防設備に問題がないか
・建築基準法や用途上の問題がないか
・駐車場や送迎車両の動線に問題がないか
・ハザードマップ上のリスクを確認しているか
函館市では、訪問系・相談系以外の事業所について、審査の過程で現地確認が行われるとされています。また、平成31年1月1日以降、事業所指定を受ける場合は、地域の実情に応じた非常災害計画を策定し、申請時に添付する必要があります。
物件を契約した後に「この間取りでは指定が難しい」「消防設備の追加費用が大きい」となると、開業計画に大きな影響が出ます。
物件契約の前に、行政書士や関係機関に相談することをおすすめします。
人員配置の確認
就労継続支援B型では、人員配置基準を満たす必要があります。
主に必要となる職種は、次のとおりです。
・管理者
・サービス管理責任者
・職業指導員
・生活支援員
職業指導員と生活支援員については、総数が常勤換算で利用者数を10で割った数以上必要とされ、職業指導員と生活支援員はそれぞれ1人以上必要です。また、職業指導員または生活支援員のうち、いずれか1人以上は常勤である必要があります。
サービス管理責任者については、利用者数が60人以下の場合は1人以上が必要とされています。
特に注意が必要なのは、サービス管理責任者です。
資格や実務経験、研修修了要件を満たしているかを確認する必要があります。
「採用予定です」「知り合いに頼む予定です」という状態では、指定申請が進まないことがあります。
B型開業では、物件と同じくらい、サービス管理責任者の確保が重要です。
書類作成と申請
就労継続支援B型の指定申請では、多くの書類が必要になります。
たとえば、次のような書類です。
・指定申請書
・付表
・法人登記事項証明書
・定款
・勤務形態一覧表
・従業者の資格証、実務経験証明書
・管理者、サービス管理責任者の経歴書
・平面図
・設備・備品一覧表
・運営規程
・重要事項説明書
・利用契約書
・苦情解決体制に関する書類
・協力医療機関に関する書類
・非常災害対策計画
・収支予算書
・事業計画書
函館市の指定申請ページでも、新規指定・指定更新申請時提出書類チェック表、指定申請書、付表、平面図、経歴書、設備・備品等一覧表、実務経験証明書などの様式が掲載されています。
書類は、ただ様式を埋めればよいわけではありません。
人員配置、営業時間、サービス提供時間、定員、運営規程、重要事項説明書、勤務表、平面図などの内容に矛盾がないように作成する必要があります。
たとえば、運営規程では営業時間が9時から16時となっているのに、勤務形態一覧表では職員配置が足りない時間帯があると、補正の対象になる可能性があります。
申請期限に注意
函館市では、指定申請書の提出期限は事業開始日の前々月の末日とされています。
また、書類がすべて整わないと受付できないと案内されています。
つまり、10月1日に開業したい場合、8月末までに書類を提出すればよい、という単純な話ではありません。
その前に、法人、物件、人員、消防、非常災害計画、運営規程、重要事項説明書、勤務表、添付書類などをそろえる必要があります。
現実的には、開業希望日の3か月以上前から準備を始めることをおすすめします。
函館市内のB型は競争も意識する必要がある
就労継続支援B型は、指定を取れば自動的に利用者が集まる事業ではありません。
函館市の資料では、令和8年1月1日時点で、就労継続支援B型の定員数は1,792人、利用見込み人数は1,471人、充足率は121.8%とされています。生活介護、就労継続支援B型、児童発達支援事業所は充足率が100%を超え、総量規制の協議対象となりましたが、協議会の結果、総量規制は行われないことになっています。
これは、函館市内でB型を開業できないという意味ではありません。
ただし、すでに多くの事業所がある中で、どのような特色を出すのか、どのように利用者を集めるのか、どのように工賃を確保するのかを考える必要があります。
たとえば、次のような視点が大切です。
・地域の企業と連携できる作業があるか
・利用者が通いやすい場所か
・送迎体制を整えられるか
・支援の特色を説明できるか
・相談支援専門員に選ばれる事業所になるか
・作業だけでなく、生活面や就労面の支援を組み立てられるか
B型は、開業前の設計がとても重要です。
開業後に必要になる運営体制
就労継続支援B型は、指定を受けた後も多くの書類や運営管理が必要です。
たとえば、次のようなものがあります。
・個別支援計画
・アセスメント
・モニタリング
・サービス提供記録
・工賃支払関係書類
・勤務表、出勤簿
・研修記録
・虐待防止委員会
・身体拘束適正化に関する体制
・感染症対策委員会
・BCP
・非常災害対策
・苦情、事故、ヒヤリハット記録
・加算の算定根拠資料
・処遇改善加算関係書類
サービス管理責任者は、個別支援計画の作成だけでなく、利用者の状況把握、支援内容の検討、他の従業者への技術指導や助言なども担います。
開業時に書類だけ整えても、開業後の運営が整っていなければ、運営指導で指摘を受ける可能性があります。
そのため、指定申請の段階から、開業後の運営を見据えた準備が必要です。
行政書士・社会福祉士としてできるサポート
松倉行政書士社会福祉士事務所では、函館市・北斗市・道南地域で障害福祉サービス事業を始めたい方の指定申請をサポートしています。
当事務所の特徴は、単に申請書を作るだけではありません。
行政書士としての申請書類作成に加え、社会福祉士として、また障害福祉の現場経験をもとに、開業後の運営を見据えた支援を行います。
たとえば、次のようなご相談に対応できます。
・就労継続支援B型を始めたいが、何から準備すればよいかわからない
・物件を契約してよいか不安
・サービス管理責任者の配置や人員基準がわからない
・運営規程や重要事項説明書を整えたい
・指定申請だけでなく、開業後の運営も相談したい
・処遇改善加算や研修、委員会、BCPも不安
・運営指導に対応できる体制を最初から作りたい
障害福祉サービスは、指定を受けて終わりではありません。
むしろ、指定を受けてからが本当のスタートです。
開業後に困らないためにも、早い段階でご相談ください。
まとめ
函館市で就労継続支援B型を開業するには、法人、物件、人員、設備、運営体制、申請書類など、多くの準備が必要です。
特に重要なのは、次の点です。
・函館市内の事業所は函館市への指定申請が必要
・指定申請書類は指定日の前々月末までに提出
・事業開始3か月前までには相談・準備を始める
・物件契約前に指定基準や消防、設備を確認する
・サービス管理責任者の確保が重要
・開業後の運営、記録、加算、研修、委員会まで見据える
・函館市内のB型は競争もあるため、特色づくりが必要
就労継続支援B型の開業をお考えの方は、指定申請だけでなく、開業後の運営まで見据えて準備を進めましょう。
函館市・北斗市・道南地域で障害福祉サービス事業の開業をお考えの方は、松倉行政書士社会福祉士事務所までご相談ください。
FAQ案
Q. 函館市でB型を開業する場合、申請先はどこですか?
函館市内で開業する場合は、函館市が申請先になります。北斗市、七飯町など函館市外の場合は、北海道への申請となります。
Q. いつから準備すればよいですか?
函館市では、指定申請書類の提出期限は事業開始日の前々月の末日とされています。ただし、法人、物件、人員、消防、書類作成などの準備が必要なため、少なくとも3か月以上前から準備することをおすすめします。
Q. サービス管理責任者がいないと申請できませんか?
サービス管理責任者は、B型事業所の人員基準上、重要な職種です。利用者数60人以下の場合は1人以上が必要とされています。採用予定の段階ではなく、要件を満たす人を確保しておく必要があります。
Q. 物件を契約してから相談してもよいですか?
相談は可能ですが、物件契約前の相談をおすすめします。間取り、消防設備、相談室、作業室、トイレ、非常災害対策などに問題があると、後から大きな費用や計画変更が必要になることがあります。

